大沢敏郎さんについて

とても残念なことでした。寿識字学級の大沢敏郎さんとは、3度しかお会いしたことがなかったのですが、とても深いものを感じていたのです。2007年10月に亡くなられていますが、ICLCは同年の9月に大沢さんにセミナーの講師になっていただこうと企画していました。同年に催しものが多くて、準備できなく、直前に大沢さんに延期の連絡を入れさせていただいたのです。
 今、思い返すととても残念です。大沢さんとは、寿町の赤ちょうちんで是非、一緒に飲みたかったです。語りたかったです。「識字は人間の存在にとっていったい何であるか」、あああ・・・とても残念です。

これはICLCが開催した講演での彼の発言の要約です。

「・・・・・ゼロから読み書きを教えてくれ、と入ってきた男性が、後に自分の母親が死んだときのことを長い作文にしてきたことがあった。息を引き取った母親に向かって「おかさん」と叫んだ、と書いてきた。実際になんと呼んだのだろう、と思って、みなの前で朗読してもらったのだが、彼は「おっかさぁぁん」と、部屋が割れるようなものすごく大きな声で叫んだのだった。これを聞いたときに、自分が受けてきた学校教育というものは完全に終わった、と実感した。文字を直し、標準語にし、句読点をきちんと打つこと、それが学校教育であり、そこでは「おかさん」は間違いなのだ。それ以来、言葉を直すことは一切やめてしまった。在日一世のオモニたちが書く日本語も、彼女たちの苦難の歴史であり、これを直そうとはもう思わない。」と。

大沢さんの「おかさん」と叫んだ識字学校での生徒の思いこそが、識字の課題のすべてを物語っているように思います。大沢さんは、日本ユネスコ協会連盟でかって働き、一時期、ICLCのスタッフとしても活躍された城戸まほろさんからのご紹介によるものでした。そして亡くなられたのを教えていただいたのも、城戸まほろさんでした。城戸さんありがとう!

 大沢さんのご冥福を心からお祈りします。そして現代の日本の識字の意味に火を明るく灯して下さったことに、心から感謝申し上げます。そして私のヒューマン・リテラシーの考え方にも、深い理解を示して下さって、高い評価を与えて下さったこと限りなく感謝しています。なにもかも過ぎ去ってしまってから、人は人を理解するものですね。
                                                      
 http://iclc2008.iza.ne.jp/blog/entry/2684399/                                                       (たじましんじ)

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