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zoom RSS ICLCが開催した中国、韓国、日本でのワークショップからの体験

<<   作成日時 : 2011/07/07 10:14   >>

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今、子どもたちが直面しているさまざまな課題について、ICLCでは絵地図分析という参加型のワークショップを、これまでさまざまな国や場所で開催してきた。最近は、原発で被災した避難者が生活している福島県のいわき市で、5月と6月の二回にわたって絵地図ワークショップ行った。この詳しい内容について、ICLCで報告したいと思っているが、今回は日本、韓国、中国の子どもと比較してみて気がついた点を報告したい。これはほんの一部の報告であり、絵地図ワークショップの回数や対象者を変えて、なんども行ったわけではないので、厳密な意味では一般化はできないが、絵地図ワークショップという「自分自身の表現」について、痛感した考えを報告してみたい。


(1)昨年、韓国のソウルにある梨花女子大学で、約30名の子どもたち(小学校2年生から中学校1年生まで)を対象に絵地図をワークショップを行ったとき、まず驚いたのが、ワークショップを開会すると、すぐに子どもの中には「このようなワークショップにには参加したくない」と手をあげて主張した子どもがいた。4−5名もいて、「こうしたワークショップよりも、家に帰って自分の勉強をしたい」と言うのである。共通のテーマを話し合ってほしいと言ったところ「みんなと一緒には話し合いたくない」「文章も書きたくない」と自分の気持ちをそのままに主張するのであった。4グループの中で、1グループは完全に瓦解しており、さらにそれに追随しようとしたグループもあった。
私の話しは日本語であり、女子学生の通訳を通じて語りかけているので、みんな興味もないらしく、いかにも両親から土曜日、日曜日に動員をかけられたという感じである。それにしても本当に自由に意見を出す。

そこで私は言った。「いいよ。参加したくない人は、参加しなくてもいいから。無理をしないように。自分の好きなようにしてください。明日も来なくてもいいからね」と答えたところ、みんな静かになった。それから絵地図ワークショップが始まったのだが、驚いたことに激しく主張していた彼らは自分の人生や世界について、もう夢中で表現し始めたのである。興味と一致したのだ。ワークショップから脱落すると見られていた4−5人も次の日には、ほぼ全員がそろったのには驚いた。絵地図のワークショップが役にたつし、なによりもおもしろかったらしい。

私はこのとき、韓国の子どもたちが自由に自分の気持ちを表現するその大胆さに驚いたのであった。日本の子どもが、果たしてこのように自分の気持ちを正直に表現するであろうかと・・・・おそらく何も言わずに次の日から欠席するのが関の山だろう。日本人という講師に向かって、自分の気持ちを素直にぶっつけることができるその力にびっくりしたのであったが、次の日は自分で興味をもったら一生懸命に取り組むその姿勢にも驚かされたのである。


(2)一昨年、中国の南京師範大学で、幼稚園から一般の主婦までを対象とした絵地図ワークショップを開催した。出来上がった絵地図をまず幼稚園の園児たちが、みんなの前で説明し始めた。それはそれぞれのグループで自由に描きあげたもので、天衣無縫ともいうべき線、色、構図であった。おもしろい!

私は絵地図の対象者は、10歳以上を考えていたが、学校教育の鋳型に入る前の園児たちの心理を自由に知りたいこともあって、園児を対象に表現活動をやってもらったのは、的中した。つまり一人っ子政策の中で、中国の子どもたちは、余りにも大事に育てられている。そして問題も出ている。

もちろん南京師範大学付属の幼稚園だから、優秀な子どもたちが多いのだろうが、実に彼らは、くったくなく、中国の将来などについても思い切り表現したのであった。これら園児の説明が終わったあとに、今度は大人たち(主に園児につきそってやってきた母親たちー30代が主流)のグループと南京師範大学の大学院の学生プループたちが、みずから作った絵地図を発表し始めた。

すると、なんと園児たちがすぐに挙手をして質問するのであった。大人たちの絵地図はさまざまな問題も描き出していた。中国における就職活動が難しいこと、男女の差別が厳然として存在すること、一人っ子で育てられた学生たちは、親からの期待を一身に背負っているので重圧がすごいことなどなど文章と絵とデザインで描きだした絵地図について、園児はそれぞれなんの遠慮もなく鋭い質問を投げかけるのであった。

例えば、女子学生が就職における男女差別について話をすれば、園児が「この国では、差別をしてはいけないっていっているのに、どうして?」というような厳しい質問である。そうした質問が出るたびに、会場では苦笑が起きると同時に、発表者はいかにも困惑した。つまり園児たちは、まるで小さな紅衛兵のように鋭い質問を容赦なく投げつけるのであった。私はこれをみて、ここまで自己表現や自己主張する子どもたちとは、全体的に熾烈な競争の中に置かれているのではないかとも痛感した。これは就職活動だけではなく、これはすべての分野に通じるのではと思ったのである。韓国よりもさらに激しい自己主張があるのである。


(3) 数年前、日本の小学校で行った絵地図ワークショップでは、小学校6年生のA君は、25名のクラスの中でひとりだけ反抗していた。こうした生徒は珍しい。彼は「絵地図はやりたくない」、「俺はなにもしないよ」と言った。そしてワークショップで楽しんでいる他の生徒にいろいろなものを投げつけては邪魔をしていた。その日のテーマは:私の人生マップーそれぞれの人生について、自由に夢でも希望でも、あるいはそれを阻害する問題でも描き出して、人生設計をすることであった。 

私はA君に言った。「やりたくなかったらやらなくてもいいよ。でも見てごらん。他の者はみんなそれぞれ一生懸命に自分の人生を考えているでしょう。A君も人生を考えることはあるでしょ!それはなんでもいいから表現してごらん」と言った。すると3時間目から猛烈な勢いでA君は自分の人生マップを書き始めた。

そして出来上がった絵地図には「学校を破壊したい!両親の夫婦喧嘩を見たい!担任の教師を追放したい!この世は金!世界征服が夢」などと書き綴った絵地図を完成させた。その全体のデザインをみると彼の内面がすべて滲み出ているような色調であった。これを見て私は日本の学校の中で追い込まれているA君や、それをとりまく切実な環境を感じて愕然とした。こうした状況に、現場の教師たちはどのように対応しようとしているのだろうか?

また中学1年生の絵地図を行ったときは、行き止まりの路線図で、自分の人生や生活を表現している子どもがいた。学校でみんなから差別をうけている様子が描かれており、担任の教師から聞いたところ、その生徒は、両親がアジア人と国際結婚をしておられるようで、日本語の表現力をよくクラスでからかわれているらしことがわかった。「ぼくの背後で、僕の日本語を笑っている声が聞こえてくる」と。彼はこういう表現で、行き止まりの人生路線図を描いたのだ。

私はこうしたワークショップをしながら、子どもたちの叫びを思いきり文章や絵やデザインを通じて、表現活動を考えたいと思っている。それを完成したとき、子どもたちはさまざまな発見をするに違いない。たった一枚の絵地図でも見るものによっては、さまざまに解釈できる。自分の絵地図をどのように解釈するか、そこに人間の生き方の姿勢がでてくるからだ。そしてそこから学ぶものは余りにも多い。

韓国や、中国や、日本などでこうしたワークショップをやってみて、日本の子どもたちの隠された表現力を思い切り吐き出せながら、自由で創造的な人生や世界を構築するために、今後も活動していきたいが、日本の子どもたちの表現力は余りにもシンプルでおとなしいのを感じる。これからの社会は、問題提起力や表現力が重要になってくるだけに、そうした子どもたちのエンパワーメントをつけるためにも、絵地図分析という総合型の参加ワークショップを強化していきたいものだ。

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